コミュニティで安心の未来を子供たちに残していきたい

  • 2020年1月1日
  • 2020年12月4日
  • JO対談

Kosha33 ライフデザインラボ  代表 船本由佳さん

江森:船本さんは元NHKのキャスターというキャリアをお持ちで、広島、大阪、横浜の放送局で活躍されてこられたわけですが、NHKというのは遠距離の転勤がそんなに頻繁にあるところなんですか。

船本:NHKにもいろいろな契約形態がありまして、私は番組ごとの1年契約のキャスターだったんです。私は大阪出身なのですが、元々の社会人としてのキャリアのスタートは岡山で、そこでは正社員のアナウンサーとして勤務していたのですが、もっと違う分野でも仕事がしてみたくなって、ちょうどそのとき広島のNHKで報道番組のキャスターの募集があったので、お隣の広島に行ったということです。

江森:なるほど番組ごとの契約なんですね。横浜にはどうして?

船本:広島のあと地元で仕事がしたくなって大阪に戻ってきたのですが、大阪の番組が2年で終わってしまったんです。それでやむなく仕事を探していたところ、横浜のNHK−FMで、新しいラジオ番組のキャスターを募集していて、フリートークができて経験者限定ということだったので応募したところ、採用していただいたので2008年に横浜に来ました。

江森:それが今やこんな活動までされて、人脈もそれなりにないとできないでしょうし、横浜で生まれ育った人でもなかなかできることではないと思いますが。

船本:ありがたいことにたくさんの方に助けていただいて、今はこの「Kosha33ライフデザインラボ」の運営を任せていただいています。

江森:なんと、以前私を取材していただいたことがあるそうで、失礼ながら全然覚えていないのですが、それはいったいいつのことだったのでしょうか(笑)。

船本:たぶんNHKをやめてすぐの頃だから2013年ぐらいだと思います。震災の後パートナーと結婚しまして、その後妊娠がわかって、今みたいに働き方改革なんて風が吹いていた時代ではありませんでしたし、番組が平日の午後6時から7時という時間帯だったこともあり、このまま続けていける仕事ではないかなと思い、ひと区切りつけることに決めました。

 8月に子供が産まれて子育て大変だな〜っていうループに入って鬱々としていたところ、横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦さんから「インタビューとかできるんじゃない?」と声をかけていただき、派遣された先が江森さんのところだったということです。

江森:そうなんだ〜、杉浦さんですか。それがどうやってKosha33につながっていくのでしょうか。

船本:子供が0歳のときって、母親はすごく力が出るというか、頭の中で人生の大改革が行われる時期だと思うんです。子育てって達成感を求めていると全然報われない世界なので、それまで大事にしてきた自分のやりがいとか達成感とかではなく、自分にとって何が大切かということを見直す必要に迫られるんですね。

 私も、これからどうやって生きていこうみたいなことを考える中で、子育ての大変さを発信したり、大変さを解消するための何かができないかなと考え、2013年2月に「ままの会」という子育て当事者が子育ての悩みを解決するための任意団体を立ち上げました。立ち上げたというより地区センターの呼びかけに乗ったという方が正確かもしれませんが。

江森:「まま力の会」ではどんな活動をしてきたのですか。

船本:同じ子育て中のママたちが集まって自分たちが欲していることをイベントにすれば、多くのママたちが参加してくれるんじゃないかということで、いろいろ意見を出し合って何ができるか検討し、できることからやってきたという感じなのですが、その中に「ミシンの活動」というのがありました。

 子供が保育園や幼稚園に入ると、入園・入学グッズというのを手作りしなければならない時期が来るんですね。ウチの幼稚園ではランチョンマットはこのサイズですみたいなことが決められていて、市販のものでは対応できず、どうしても手作りせざるを得ないということが先輩ママからの情報で少しずつわかってくるわけです。でも家にミシンなんてないしスキルもない、ならばみんなで集まって作り合いっこしようという活動が、まず始まりました。

江森:手作りバッグの問題は昔から言われていますよね。みんなで集まって作ろうというのは良いアイデアですね。

船本:得意な人が先生役も兼ねてミシンを持って来てくれるのですが、毎回ミシンを家から持って来るのは重くて大変でした。また参加者も増えて来て台数も足りなくなってきたことから、ご近所で家に眠っているミシンがあったら寄付してもらったらどうかということになって呼びかけてみたところ、9台も集まって、その中の1台がそこにある古いミシンなのですが、それぞれのミシンに思い出や思い入れがあって、メッセージ付きのミシンがたくさん寄せられました。それを「街のミシン」として活用させていただくことにしたのです。

江森:それは素敵な活動ですね。ミシンを媒介にすれば子育てママだけでなく、いろいろな人が参加できる活動になりますね。

船本:そうなんです。子供を連れているとどうしても行けるところが限られて来て、交友関係も限られて来るので、ミシンの活動はとてもありがたかったですね。ところが、ミシンを預けていたさくらワークスが2017年に終了することになって、ミシンと一緒に出ていかなければいけなくなってしまいました。次の保管場所をあちこち探していたところ、神奈川県住宅供給公社の理事長さんから、公社1階の空きスペースをリニューアルするにあたり何か提案してくださいという依頼をいただいてプレゼンテーションしました。

 「子育て当事者だけでなく、さまざまな人たちが集まる暮らしの実験室にします」というコンセプトで、コミュニティが失われていると言われる現代にあって、コミュニティの大切さを伝えていく活動ができればと、簡単に言えばそのようなご提案をしたところ、それならいいですよということになり、めでたくミシンを置いていただけるようになったということです。

「まま力の会」に寄贈されたミシン

江森:公社の理事長さんは素晴らしい感性の持ち主ですね。「暮らしの実験」というのは具体的には何をするのですか。

船本:子育てを経験して社会的弱者側になったことで、世の中には制限を受けて暮らしている人がこんなに多いんだ、やりたいことができないでいる人がたくさんいるんだということに気づいたんです。でもいつか自分のやりたいことを始めたり、自分らしさを取り戻したりできる、前向きな気持ちになれる場所が必要なんじゃないかと思って、この場所を「ライフデザインラボ」という名前にしました。自分の人生=ライフをデザインしたいと思う人が、何かを実験することができる場所であり、次の一歩を踏み出すことに迷っている人たちが集って研鑽できる場所だったらいいなあという思いでいます。

江森:公社さんからは具体的な成果を求められているのですか。

船本:特に決まったものがあるわけではないのですが、ここで私たちが学んだことを神奈川県住宅供給公社の1万3千戸の住宅にお住いの方々にフィードバックして、団地で実践できればいいなと思っています。

江森:それはいいですね。とても可能性を感じます。具体的な成果を残したいですね。

船本:そうですね、何か数値で表せるものも必要と思いますが、来場者が何人になったとかそういうマスな指標ではなくて、大事なことは一人の行動変容を促すことができたかどうかだと思うんですね。たくさんの人が来ても、来ては去り、来ては去りではコミュニティが育ちません。主体性を持ったおもしろい大人が街にたくさん増えれば増えるほど街は楽しくなると思いますし、お金ではない価値観でコトが動くというのはそういうことではないかと思います。でもそれは目に見えにくいものなので、何らかの評価軸は自分たちで考えていかないといけないと思っています。

江森:私もCSRの取り組みの中で目に見えないものをどうやって測定・評価するか日々試行錯誤していますが、これからの時代はそのノウハウの勝負なのかなとも思っています。長期的なビジョンは先ほどお聞きしましたが、もう少し近いところでいうとどんなことをしていきたいですか。

船本:そんなに確固たるものはないのですが(笑)、コミュニティの評価基準みたいなものができたらいいなと思っています。そういうものがあると、コミュニティを作っていく人、良くしていこうと思っている人のわかりやすい目標になると思うんですね。私自身コミュニティに助けられて生きていますので、コミュニティがあって安心できる未来を作っていきたいです。

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