第八話 読みやすさとは

第八話 読みやすさとは

高齢化の進展により老眼の方が増えてきたこともあり、近年「文字を大きくして欲しい」というご要望をいただく機会が増えています。文字が小さいと読みにくいからというのがその理由ですが、文字が大きいことと読みやすいことにはどの程度の相関があるのでしょうか。

 視覚のユニバーサルデザインを研究しているNPO法人メディア・ユニバーサル・デザイン協会によれば、A4サイズの印刷物に記載する場合は12ポイント以上が適切とされています。ただし文字サイズを大きくすれば、ページ数を増やさなければいけなくなり、それが心理的な読みにくさにつながる場合もあります。

 文字サイズに対する行間も読みやすさの重要な要素となりますが、こちらは文字サイズの3分の1から2分の1が適切とされています。つまり12ポイントの文字の場合、行間は4〜6ポイント、行送りで16〜18ポイントが適切です。文字サイズを大きくしたいがために行間を狭くしている文書を見かけますが、それではかえって読みにくくなってしまい本末転倒です。また、1行の長さが長くなるにつれて、行間は広くした方が読みやすいと言われていますが、あまりに長いと読みにくいので、その場合は2段組にするなどの工夫が必要です。あえて1段組にする場合は、左右の余白を十分にとって、1行の文字数があまり多くならないように注意した方が良いでしょう。その余白については、A4サイズの場合で上下左右それぞれ25〜30㎜程度はあけた方が読みやすいですが、内容をたくさん盛り込もうとして余白を犠牲にしてしまっているケースもよく見受けられます。

 このように、読みやすさを決めるのは文字サイズだけではなく、文字サイズに合った行間の設定や、1行の文字数、適切な余白、全体の文章量、全体のページ数、見出しの大きさ、フォントの選定など、様々な要因があります。それらを総合的に見直し、調整することで読みやすい印刷物になっていきます。

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